「転換」など

<今日の検証内容>

・杖術研究・2
・意識の鍛錬法
・「力の転換」「吸収」
・「構え」について


●杖術研究・その2

先週に引き続き、杖の研究をします。
今回はMさんが合気杖(岩間スタイル)を演じて、夢想流の基本12形との違いを具体的に上げてくれました。
合気杖は体の転換を使って、最初の位置に戻ってきます。
一方、基本12形は直線的に進み、折り返して帰ってきます。
合気杖が側面に入るのに対し、基本12形は腰を正面に前に割っていく「直線型」。
同じ棒の使い方でも、考え方がまるで違います。

合気杖は槍や銃剣道の動きを取り入れているので半身・橦木足になるようです。
夢想流の方は剣術の色が濃いので「振る」動作と正面から直接入る動きになるのでしょう。

どちらが優れている、という議論は無意味です。
人それぞれ自分に合ったものを選んでいくのがいいでしょう。

双方とも体幹が動いて杖がついていく事が重要だと考えられます。
棒だけ振り回しても相手の攻撃を受け流せないし、威力のある反撃も出来ないのです。

それから「杖は友達」というぐらい、手慣れなければいけないのは言うまでもないでしょう。
達人の杖は長年手でこすられているために飴色に光っています。



●意識の鍛錬法

Mさんに杖を使った意識の鍛錬法を教えて頂きました。
垂直に立てて持った杖にそってしゃがんだり立ったりを繰り返す、というものです。

単に足腰を鍛える訳ではありません。
杖を垂直軸に見立て、これを基準にして動くのです。
さらにその時、自分が上がったり下がったりするのではなく、周囲が上がったり下がったりしている、とイメージして行うそうです。
止まっているエレベーターから、隣の動いているエレベーターを見ている、といった感じでしょうか。

これで「重心をコントロールする意識」を鍛えます。
武術の重要な身体技法「浮身」「沈身」を養うのです。

中国武術の「濡らした紙を破らないように歩く」「立てたレンガの上を歩く」といった鍛錬法も同様の意識を練るために行うのだと考えられます。

忍者の「しのび足」なんていうのは、正に「浮身」「沈身」の結晶と言えるでしょう。


●「力の転換」「力の吸収」

「一体化」に加え、「部分フリー」という要素を加えた応用技術の研究です。

「ベクトル合成」は相手の攻撃に応じて、こちらからも力を加えて力を合成して崩す技術なのですが、今回研究する「力の転換」は相手の攻撃だけを原動力にしよう、という試みです。

例えば相手が100人いて、華麗に99人倒してもこちらが力尽きてしまったら最後の一人にやられてしまいます。
自分の力は使わなければそれに越したことはありません。

実際に体さばきで実験です。
相手の突きに対し、「一体化」で繋げた腕と体で接触します。
いつもならここから体幹からの回転力で「ベクトル合成」を起こすのですが、今回は腰、または足の裏を「部分フリー」にして、自分が回るようにします。
攻撃力を体さばきの回転力に「転換」してしまうのです。

攻撃側は力を吸い取られたような感じになります。
注意点はしっかり「一体化」しておかないと潰されるということと、攻撃を素直に受け入れることでしょう。

「転換」が横方向に力を変える方法だとしたら、「吸収」は縦方向に変えるやり方です。
攻撃力を体を通じて地面にアースするのです。
「部分フリー」にするのは股関節、ヒザでしょうか。

「転換」「吸収」共に、どこかで止め無いように一連の動きで行うことが重要です。
全ての原理に共通することですが、ムーブメントがないと技はかかりません。

合気杖も相手の打ち込みを利用して待機姿勢まで戻ります。
どの武術にも「転換」は含まれているはずです。


●「構え」について

昔から「構える」と動きにくい、と思っていました。
武術各流派にはそれぞれ「構え」がありますが、それは本当に「始まり」のためのものでしょうか?
前提をひっくり返して、「構え」は技が終わった後の姿勢、と考えるとどうでしょう?

「構え」は大体低い姿勢で足に負荷が掛かっており、手足が前に出された状態なので、運動エネルギーをここから絞り出すのは大変です。
武術というのは合理性を求めているはずなので、このような非効率を認めるはずがありません。

では、敵を迎える開始の姿勢はどうすればいいのか?
私たちは「中立」が良いと考えています。
つまり、自然に立っているだけの「直立」です。
この状態が下へ落ちる位置エネルギーを最大に引き出せますし、どのようにも変化できます。

といっても、具体的にどういう直立が正しいのか、それはまだ分りません。
今後の課題です。



今月は3回、きっちり稽古することができました。
Mさん、ありがとうございました。
来月も宜しくお願いします。
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