初稽古

先週、雪が降って中止になったので、今回が初稽古です。
今年も人目に触れない所で言いたい放題言い、やりたいように練習をして行きますので、どうぞ宜しくお願い致します。

●合気上げられ?

HKさんが、ある教室の講習会を受けてこられたというお話からスタートしました。
合気上げがテーマだったそうですが、講師の係の人が妙に簡単に上げられてしまうのが不思議だったとのこと。
以前Kさんも同じ教室の体験に行かれたそうで、その時には「上げられそうになった時、逆らわないで上げられる稽古法だ」という説明を受けたようで、そこでの合気上げの稽古はそういうやり方なのでしょう。

感覚を敏感にする稽古とも言えますが、「合気上げ」そのものの稽古としてはどうなんだろう?とみんなで首を捻りました。

●「逃げ」を作る

中国武術の力の出し方を「発勁」と言いますが、これをやる時に注意しなくてはならない事があります。
それは「逃げを作る事」です。
KさんとHKさんは強力な発勁をする武術をしていて、練習をしている最中、自分にそのパワーが跳ね返ってきてひどい目に遭われたそうです。
そのような反力を防止するために、あえて「逃げ」を用意して、自分を守る必要があります。

逆に、より力を大きく出すための「逃げ」というのもあります。
体をバリバリに張って、どこにも弛みがない状態で攻撃を出すと、いかにも効率よく強力な力を出せそうに思えますが、これは力が伝わっていく過程でそこら中に反響したり、飛び出たりして、返ってパワーロスになるようです。
そうではなく、肝心な部分に「逃げ」をあえて作っておくと、経路が直結してスムーズに力が伝わる様です。
あるイメージを使うことで出来る実例をKさんがやってみせてくれました。

●ロングスパン

日本刀で何かを斬る時に、棒を振るみたいに刃を当てると切れないばかりか刃が欠けてしまいます。
刀の使用方法としては、刀身をなるべく長くつかって引き切りするのが良いそうで、力がかかるポイントを分散させて負荷を減らすという意味もあると考えられます。

幕末に新撰組が池田屋を襲撃した時、かなりの乱戦だったために、さしもの剣の達人たちも刀の切っ先を折ったり、刃をボロボロにしたそうですが、ただ一人、近藤勇局長だけは刃こぼれ一つさせなかったそうです。
近藤勇は「抜き胴」といって脇をすり抜けながら胴を斬る技が得意だったために刀へのダメージが少なかったと言われていますけど、それ以上に全刀身をきれいに使って斬っていたからではないか、と推察されます。

「刀で斬る」ほんの一瞬の行為に、より長い時間刃を当てるべし、という矛盾した秘訣がある訳ですが、これはあらゆる武術に通ずるように思います。
そこで検討してみた所、それを裏付けるような稽古の要諦があぶり出されてきました。

例えば柔術の技は、実際に相手を制するよりかなり早い段階から働きかけを行います。
殴ってきた相手の手首のツボを極め、地面に縫い付ける技の場合、最初は軽く触っている程度なのが腕を滑らせて手首に至るまでに体勢が崩され、結果的にツボに嵌って伏せられている、というようなスパンが長い過程があります。

太極拳の場合、足を踏み出してそこに重心を乗せていくという簡単な動きについても、サッ、ドスン、ではなく、足を伸ばし、カカトを音もなく着いて内側のアーチ沿いに荷重をかけていく、という繊細な過程が必要です。

この「過程」が技にはどうしても必要で、それを短い時間内に行えるようにするのが武術の稽古ではないかと思います。
刀で斬る時に途中を省けないように、技の過程を省略したら技として成り立たないのです。
そのために編み出されたのが「慢練(まんれん)」という稽古法です。
すなわち「ゆっくりしっかり動く」という事で、まずは「過程」を確実に行うのが回り道なようでも結果的に一番早く武術を身につける方法ではないかと思います。
対人だとどうしても途中をすっ飛ばしてしまいがちですが、そこをグッと我慢して、必要な過程を経るべきでしょう。

今月は28日にもう一回稽古あり〼。
宜しくお願い致します。


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