混ぜない

まだ大丈夫ですが、夏の柔道場は地獄です。
何にもしなくても汗が流れてきます。
根性的なものはどうでもいいので、エアコン付きの道場が欲しいです。

●レツ落とし・改

今週はKさんのターンです。
昔からやっている太極拳を改めて学び直してきたそうなので、いくつかレクチャーして頂きました。

その中で、私たちが「レツ落とし」と呼んでいる技の新しい解釈がなされました。
以前にもお話ししたかも知れませんが、これは太極拳の8つの基本概念の中の1つ「レツ勁」を用いた技です。
「レツ勁」は2つの直角のベクトルを合成して作ります。

今までは膝を垂直に抜いて、時間差で水平のベクトルを掛けるようなやり方をしていましたが、Kさんが改めて学んだ型や基本功を利用した所、なんとそれがそのまま使える事が分かりました。
ようするに「型通り」やるのが正解だった訳です。

今までの「レツ落とし」を振り返ると、柔術のやり方を取り入れていたように思います。
つまり、太極拳の技を柔術的に解釈して再現した、という事です。
そのため何となく違和感がありました。
やはり技を再現するには、同じ系統の体の使い方が一番という事でしょう。

太極拳を例にして考えてみましょう。
陳式太極拳と楊式太極拳は、名前は同じ「太極拳」ですが、全く別物と言っていいぐらい違います。
そもそも基本的な姿勢から違っていて、Kさんの解説によると陳式は前に前に積極的に出て行こうとするのに対し、楊式は俯瞰的な姿勢を取ってある一定のスペースを固守しつつ、そこに入ってきた敵に対応する、という様な感じだそうです。
当然それぞれの技術体系はそれに沿ったものになるでしょう。

そう言われてみると、陳式はフルコンタクトの格闘技などにも取り入れられる程、オフェンシブな傾向があるように思います。
陳式をやっている人たちの性格もどちらかというと攻勢というか前に出て行くタイプが多いように感じます。
一方、楊式はどちらかというとディフェンシブで、こちらからは先に手を出さない「後の先」的な思想を持っていると思います。

また、陳式は主に横回転の力を積み重ねて技を発するのに対して、楊式は縦回転や上下の運動を主に使います。
そのため、同じ名前の型でも見た目がまったく違いますし、外観は似ていても中身が別物、という事もあります。
研究者の中には「陳式拳」と「楊式拳」というまったく違う拳法と考えるべきだ、と主張する人もいるぐらいです。

このような違いから考察するに、同じ太極拳だからといって、ごちゃ混ぜにするのは問題がありそうです。
ましてや双方の良いとこ取りをしてツギハギしたりすると「太極拳と称する何でもないモノ」になりかねません。
自動車で言うなら最高のスポーツカーを作ろうとして色々な車のパーツを組み合わせても、最高どころかまともに走らない車になってしまう可能性がある、という事です。

それよりも素性の良い一台のスポーツカーに乗りながら不満な所を見つけ出し、それを解消していったり、その車を乗りこなせるようドライバーが工夫した方がはるかに良い走りが出来るでしょう。
つまりは、ある武術で分からない事が生じたなら、色々他のものを取り込むより、その武術自体をもっと掘り下げる方が結局のところ真相に行き着く早道になるのではないか、と思います。
今回の「レツ落とし・改」はそういう意味でも勉強になりました。




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