パスを通す、のの字書き

今の武術練習会はレクチャーとブレーンストーミングがメインです。
持ちネタの提示と、それを様々な角度から検討する作業という事ですが、そうやって抽出したものを身に付ける稽古の時間ももっと設定したいところです。


●パス(経路)を通す

柔術で教わってきたんですが、手からカカトまで力がダイレクトに伝わっているか確認するのに物を持つとよいそうです。
例えば棒を両手に持ってみます。
まず棒を持って腕をだらりと落としてみると、腕はまったく棒の重さを感じません。
当たり前ですが、これは腕を使わず棒の重さを体で受け止めているからです。

今度は棒を持った手を肩の高さまで上げてみます。
木の棒とはいえ、腕だけで持っているとしんどくなってきます。
そこで、背中の力みを抜いて腕のしんどさが無くなる状態を探っていきます。
腕と棒のせいで前に出た重心を、体の中の脱力状況で後ろに引き戻すようなイメージです。
これで棒の重さを感じなくなった時が「手→腕→背中→脚→カカト」と力の経路がつながった状態だそうです。
この感じが身に付くと自分と相手の力がぶつからなくなります。

昔と今の武術で決定的に違うのは「武器を使用するかしないか」です。
本来は武器を振り回すものだったのが、近代になって素手の格闘術になった事で大きく変質しました。
武器を自在に使うには上記のような「体への落とし込み」が必要になるかと思われますが、それをしなくなったのです。
武術の達人に槍の名人が多いのは、槍のような長くて重いものを思い通りに扱える体があるから、とも言えます。
だから使用する機会はなくても、武術修行には武器術が必須ではないかと思うのですが、いかがでしょう。


●のの字を書く

Kさんから、巻き込む動作の前段に小さい「のの字」を書く、というアイデアが出ました。
例えば相手の体に掌で触れ、こするように回す時に、単純に大きく1回転させても作用しません。
しかし、その大きく回す前に「のの字」を書くように小さい回転を入れて渦巻きみたいにすると思いがけない崩しの効果が得られます。

HKさんによると、太極拳の動作の中にも大きい動作の前とか中間に、こういう小さい回転が入っているそうで、型だけやっていると何のための動作か分かりませんが、用法も学ぶと理解できるそうです。
管理人も色々な武術動作を分析してみたら、古い武術の型にはこういう一見無駄とも思える小さな動作の切れ端が埋め込まれている事に気がつきました。
時代が下るにつれてこうした動きはカットされてしまいますが、実はこの小さな「のの字」みたいなのが重要なのではないか、と思えてきました。

なぜ現代に近づくにつれて、「のの字」のような動作が無くなっていったかは議論が要りますが、1つには「難しい」という事があるでしょう。
例えば「人差し指で空中に直径1ミリの円を描いてください」と言われて出来る人は、かなり体と脳が開発されていると思います。
つまりイメージ通りに動作をコントロール出来ているという事です。
そして小さい動きほどそれが難しい。
初学者にそれをやらせようとすると、みんな嫌になって辞めちゃうから教える方もハードルを下げていき、結果的に重要な部分が欠けたものが広まってしまった・・・という事ではないでしょうか。
なんでもシンプルにすれば良いってものではない様です。
この辺りはさらに研究してみたいです。


次回は5月7日(土)です。
宜しくお願い致します。


スポンサーサイト

Powered by FC2 Blog

FC2Ad


Copyright © 武術練習会の研究開発日記 All Rights Reserved.