「レ点」「脳速度」

18世紀のイギリスでは「ルーナ・ソサエティ(月光会)」という集会を開く習慣がありました。
月に一度、満月の夜に数人で集まっておしゃべりするから「月光会」。
様々な話題で盛り上がったそうです。
この無数に開かれた月光会が産業革命の新技術、発明を生み出す原動力になったそうで、イギリスを世界の覇権を握る大英帝国に押し上げた秘密は「おしゃべり」にあったと言っても過言ではないでしょう。

どんなに頭がいい人でも個人の思考・知識には限界があります。
しかし他人の頭も借りる事が出来れば、その限界を越えられる可能性が出てきます。
1人で悶々と稽古するよりも、仲間と楽しくやった方がお得な事は歴史が証明していると思います。

●レ点

最近はKさんのアイデアから研究が始まります。
此度もきっかけを持ってきて下さいました。

先日の稽古で伸張反射を取りあげましたが、その応用みたいな技です。
相手が間合いに入るのに合わせて、一瞬沈み、その反発で飛ばします。
体の軌跡が「V」になるので原理を「V字」と呼んでいます。

最初はこの「V字」で色々試してみましたが、「Vというより、一旦下に沈んだらどうなるか」というアイデアが出たのでそちらもトライしてみたところ、こっちの方が相手の向かって来る力を吸収する効果があり、しかも無理なく飛ばせました。
軌跡がチェック済みの「レ」みたいなので「レ点」と呼んでおきます。

太極拳で相手を下に落としておいて飛ばす技法を「引進落空(いんしんらっくう)」と言いますが、「レ点」はそれに近いです。
また、「前に寄り掛かると力比べになる。後ろに引くと押し込まれる。だから下に落ちるしかない」という柔術の理屈にも当てはまります。

●脳速度

上記から続きます。
「レ点」をやる時に、相手を落とそう、飛ばそう、と思って素早く動くと一人相撲になって技がかかりません。
逆にゆっくりでないと引っかかってくれないのです。

人間は脳が体をコントロールしていると思われがちですが、意識的に動かせる領域はあまり多くありません。
例えば熱いものに触ってしまった時、とっさに手を引っ込めるのは反射で体が勝手にやっています。
瞬間的に強い外力が加わると体は大脳ではなく、直接動作系に信号を流して緊急措置をとります。
いきなり引っ張られたり、突き飛ばされた時もこの仕組みが働くため、人間はそう簡単に倒れません。
そこで体に「反射」を起こさせないようにゆっくりと力をかけていく必要があります。

どれくらいの速度かというと「相手の脳がついてきてくれるぐらい」ではないかと思われます。
あんまり速いと反射を起こさせるし、遅すぎると対応されるので「適度なスピード」です。
本当に技が決まるとやられた方にも爽快感がありますから、そういう時が絶妙な「脳速度」なのでしょう。
この「脳速度」を会得したら達人に一歩近づくのではないでしょうか。


次回は10月29日です。
一週とんでいますので宜しくお願い致します。






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