陰陽・ゆるみ

人間が動作を行う時に必ず伴うのが「意識」の操作です。
体がハードウエアだとすると、意識はそれを動かすソフトウエアで、このソフトの出来が動きの質を決めると言って過言ではないと思います。
伸び悩んでいた人が、ちょっとしたコツを教わっただけで別人の様になるのは、意識の持ち方がいかに重要かを物語っているでしょう。
問題は、この「意識」というものが形が無いし記述も出来ないという事です。
もし意識を形として伝える方法が考え出されたら、人類は間違いなく一段上にシフトすると思います。

●陰陽の意識

管理人が教わっている柔術は、イメージや意識を非常に重視します。
今回はその一例で、体の「陰陽」を利用する方法を試してみました。

古代中国の思想「陰陽理論」では、あらゆる物事を「陰」と「陽」という正反対の性質を持つものとして分けます。
(昼間が「陽」で夜が「陰」、男が「陽」で女が「陰」、広がると「陽」、縮むと「陰」、など)
人間の体だと、背中側が「陽」で腹側が「陰」です。
昼が夜になり、夜が昼になるように陰陽は常に入れ替わり、双方に変化する際に「流れ」が生じます。
人間の陰陽は、陽側は上から下に、陰側は下から上に流れる法則があり、東洋医学はこれに従って治療を行っています。

体を動かす時にもこの陰陽の流れに従った方が良いだろう、というのが柔術の理屈です。
例えばパンチを打つ時、普通は上から下に打ち下ろしたくなりますが、これは陰陽の流れからすると反対向きになるので効率的ではありません。
前に打とうとするなら陰側の下から上に突き上げるようなパンチの方が勢いが増すはずです。
そこで実験をしてみます。

両手首を掴んでもらい、最初は腕の前側、つまり手の甲の方を使うつもりで相手を押してみます。
これだと力がぶつかっている感じになって押すのが大変です。
今度は腕の裏側を意識して押してみます。
すると、甲側よりもずっと力が通る感じがして、相手を簡単に押しやれます。
違いは甲側(陽)に意識をかけるか、内側{陰)に意識をかけるか、だけです。
陰陽の意識を切り替えるだけで効果がガラリと変わります。
太極拳などの型を見ても、下から潜り込むように打つ例が多いので、東洋で生まれた伝統武術は、少なからず陰陽の意識を利用していると考えられます。


●ゆるみ

HDさんからは体をゆるませて拘束から逃れるトレーニングを紹介して頂きました。

「ゆるんでいる」とは、力みがなく、どこにも居着きがない体の状態を差していると思います。
動物でいうと「タコ」が一番ゆるみを体現しているでしょう。
しかし、自分ではゆるんでいるかどうか判断出来ません。
そこで、他の人に拘束してもらう事でゆるみ具合や、力み具合を確認してみました。

まず壁に背中をつけて立ち、拘束する人は壁に立った人を棒を横にして胸に押し付けます。
これで壁側の人は体をゆるませて押し付けられた棒から左右に逃げます。
ゆるんでいないと動けません。
この時、壁側の人は力む部分、支点など、居着いている所を自覚し、そこを溶かすように努力します。

寝技でもやってみます。
柔道の袈裟固めを掛けてもらい、ゆるみだけで拘束から逃れるようにします。
返し技ではなく、体の操作のみでスキマを作る事を心がけます。
相当ゆるまないと難しいです。



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