タマゴキャッチトレーニング、「自動化」

武術練習会のスピンアウト会・「推手サークル」の恒例イベントが今週末に行われます。
どなたでもご参加頂けますので、ぜひ遊びにいらしてください。

●推手サークルジャンボリー2017
日時:6月11日(日)13時から16時30分まで
場所:静岡県湖西市新居地域センター 2階大会議室


入場無料、出入り自由。
太極拳の対練「推手」や武術の交流、雑談など半日お楽しみ頂くイベントです。
皆様のご来場をお待ちしております。


●タマゴキャッチトレーニング

Kさん提案の「タマゴキャッチ」をトレーニングしてみます。
最初はテニスボールを投げてもらい、それを柔らかく受ける練習です。
この時心がけるのは「全身で包むように」です。
手だけで受けようと思うと全体が連動した感じが出せません。

柔術では「力をカカトで受けるように」、太極拳では「体を”Cの字”にして受ける」という説明をされたので、参考にしてみました。
本当はもっと重量がある、例えば砂が入ったバスケットボールぐらいの玉でやると衝撃が大きいので、タマゴキャッチがうまくいっているかどうかハッキリすると思うんですが、今のところ用意出来ていないのでこれから開発する予定です。

何度かやってみて、受け止める「感じ」が出てきたら、今度は相手を立ててやってみます。
腕を掴まれたのを上げるのと、持っていた棒を上から押さえつけられた所を上げ反すのなど、何パターンか返し技をしてみます。
もっと受ける「感じ」が自然になると効果が目に見えるかも知れません。


●自動化

太極拳には「四正」という基本的な概念があります。
「ポン(上にあげる・膨らむ)」「リー(後ろに引く)」「ジー(前に押す)」「アン(下に落とす)」という四方向で「四正」です。
先日受けた太極拳の講習会で、これは単独で使うのではなく、「ポン・リー」でセット、「ジー・アン」でセットだ、というお話を聴いたのですが、この説明で目からウロコが落ちました。

それはこれまで研究してきた「ベクトルの合成」に通ずるものがあるからです。
例えば「リー」を単独で使おうとすると相手を自分の斜め後ろに引っ張るような技になるのですが、相手は力の方向を察して逃げたり耐えたりするのでうまく掛かってくれません。
しかし、「ポン」で上に上げるベクトルを掛けながら「リー」を掛けると、上に向かう力に途中から後ろに向かう力が合成されて、斜め上に向かう力が生み出されます。
このような合成力は、技を掛けた本人すら予測していない方向に飛んでいくため、相手はもっと対応しにくいのです。

武術や格闘技にはこのような合成力を使う技がたくさんあります。
例えば居合をされているHDさんによると、据え物を袈裟に斬る時、斜めに刃を走らせるのではなく、下に振り下ろしながら体を僅かに移動すると結果的に袈裟に斬れるのだそうです。
格闘技の例では、あるボクシングのチャンピオンが得意としていた大振りのスイングブローは相手のストレートよりも早くコメカミにヒットする不思議なパンチだったんですが、これは相手より早く手が届く位置に入りながらパンチを打つと、緩やかなカーブを描いて飛んで行くように見える、という事だったのではないかと推察されます

そんなに便利な技だったらみんな使えばいいじゃん、と思われるのですが、ベクトル合成をする上で最も難しいのが、「それぞれのベクトルを独立させること」です。
つまり、腕を真っ直ぐ振り下ろす、腰を回す、というような動作を独立させて同時にやるのが困難なのです。
楽器の演奏で言うと、右手でメロディーが弾けて、左手でアルペジオを弾けても、両手で合わせようとすると出来ない、みたいなものです。
右手と左手が独立していないから別々に動かせないのです。

そこで必要になるのが「自動化」です。
ベクトル合成に必要な動作を一つ一つ分解し、それぞれが脳の干渉を受けずに自動的に動くように訓練しなければなりません。
ロボットのように、モーター、リニア、ギアといった単純運動するパーツをそれぞれ動かしつつ、それらを総和して1つの技にするのです。
頭で考えて動かすと、絶対にこのような運動が出来ません。
人間の脳は良くも悪くも合理的で、動かす部分を極力減らそうとする傾向があるので、各部を独立させて動かす、なんていう面倒くさい事はさせたがらないのです。

武術の稽古とは、つまるところ体各部の自動化ではないかと思います。
楽器が得意なHKさんの体験談が興味深かったのですが、ピアノやギターの練習をしていて最初は右手と左手が合わなかったが、出来るようになってみたら弾いている自分を上から別の自分が眺めているような感覚になったそうです。
これこそ体を自動化して脳から切り離した例と言えるでしょう。

逆に言うと、こうなるまで練習しなければ武術を武術として使えるようにはならないのではないかと思います。
いきなり襲われて、気がついたら襲った相手の方が血をふいて倒れていて自分が何ともなかった、というのが武術の正しい使用法でしょうから、頭で「こうしよう」「ああしよう」なんて考えている余裕なんかないのです。

そうなると、結局、その流派のベースとなる動作を繰り返し練習して体に染み込ませるのが一番確実、という事になるのではないかと思います。
余分な動きを削りに削った、最もシンプルな入門したら最初に教わる基本動作。
さらにその前の「真っ直ぐ立ち続ける」事。
伝統武術なら必ずどこでもこれがあるはずですから、まずここに立ち返るのがいいのではないかと考えられます。
また、習得したい技の動作を一度バラバラにして、単純化した動きを自動化する、というのも一つの手ではないでしょうか。





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