コラム「良い師を求める・その1」

明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。


まだ初稽古していないので、今年初投稿はコラムからです。


武術を修めるに当たって、重要なのは「良い先生に学ぶ」事でしょう。
「たくさん練習する」
「創意工夫をする」
などは、良い先生に習った上で行うと効果が倍増します。
伝統的な技能は大勢の人間の試行錯誤の末に残されたモノなので、そこから学ぶのと学ばないのとでは進歩が違います。

逆にマズいのは自己流で何も考えずにガンガン体を鍛えるやり方で、上達するどころか体を壊してしまいます。
オヤジギャグで言うと「事故流」です。

富士山への登山で例えるなら、全く師に付かずに武術をやるのはJR沼津駅から地図も無しに歩いて頂上を目指すようなものなのに対し、良い師に学ぶのは五合目までバスで行ってガイドが登頂まで付き添ってくれる、ぐらいの差があります。
ちなみに悪い師に付くと青木ヶ原樹海に導かれて出られなくなります。

ほとんどの人は時間にもお金にも限りがあるでしょうから、その中で最大限の効果をあげようとするならスタートそのものをゴールに近づける「良い師につく」のが一番でしょう。

そういう意味で言うと、武術練習会の活動は逆行していますね(笑。
(我々もいい先生に付くのがベストだとは思っていますが、実験的な試みもあるので)

それでは「良い先生」とはどんな先生かについて考察していきます。
あくまでも管理人の考えだということをお断りしておきます。

まず第一に「技術が正しい事」です。
これは流派の宗家だとか、系統がはっきりしているとか、そういうのとは別です。
あくまでもその先生自身が「理に適った動きができるか」どうか。
これをまず最初のチェックポイントにするといいでしょう。

ではそれをどう見極めるか。
簡単な方法を2つご紹介します。
1つは「技が良く分からない」ことです。
先生が動いているのをじーっと見ていても、どういう軌跡を描いているのか追えない、動きが記憶に残らない、どうやって技を掛けられたのか分からない、理解を超えた運動をしている、という事です。
目に見えないような素早い動きではないのに、気がついたら動作が終わっていたりします。

普通の人は動作を起こす前に「いくぞ!」という予備緊張が入る為、どうしてもワンテンポ遅れて開始されます。
また、体のコントロールが不十分なので、動作と動作の間がブツブツと途切れたりします。
こうした運動は目で追えますし、動作が始まる前や途切れた時に押さえ込めば技を封じることが出来ます。
「分かりやすい技」な訳です。

対して「良く分からない技」は、動き始めに力みがないので、いつの間にかスタートしています。
そして動作間に空白が無く、動き自体も滑らかなので付けいる隙がありません。
ブツ切りの普通の動きを見慣れている人には、こうした淀みない動きを目では見ていても脳で処理できないのです。
伝統的な武術の型は、このような滑らかなコントロールされた動作を養成する為に考案されたものなので、こうした動きが出来る人は伝統に則った正しい鍛錬をした、という証明になるのです。
厳しい言い方ですが、いくら強そうでも見ていて良く分かる動きをする先生からは得るモノがないと思います。

2つ目は「普段、静かで丁寧な所作をしているか」です。
先生の道場以外での立ち振る舞いをよく見て下さい。
正しい技術を身につけている人は、静かにスーッと歩きます。
階段を昇るときも足音を立てずにスルスルと上がって行きます。
(階段を降りる時も静かに出来れば完璧です)
なにか物を置く時、ドサッと投げ出したりせず、物が接地するまでちゃんと持って静かに置いたりします。
イスに座る時もドカッと座らず、音も立てず静かに腰掛けるでしょう。

正しい鍛錬をしている人は普通の立ち振る舞いが静かで丁寧なのです。
神経回路が隅々まで形成されて、動作一つ一つを最後までしっかりこなすことが苦にならないため、自然とそうなります。
対して、いくらパワーがあって素早い動きが出来ても正しい鍛錬をしていない人は、体を隅々までコントロール出来ていないので、途中で意識が途切れたり、動かない部分が邪魔をして雑な所作になります。
バタバタ音を立てて歩いたり、モノを放り投げて置いたりするでしょう。

武術の技は無意識に出てくる様でなければ実際に使えません。
正しい練習をして体が武術用に変わっている人は、何気ない行動だからこそ理に適った動作がにじみ出てくるのです。

これは先生を見定めるだけでなく、試合で相手の力量を計るときにも使えると思います。


(「良い師を求める・2」へつづく)


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